2001/10/22 | The doll | |
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| 夢を見ました。2001年度夢アカデミー賞最有力候補。
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古道具屋に、セルロイドでできた女の子の人形がありました。 ある日、その人形を16歳の青年が買っていきました。 青年は、ピアノの上に飾って、大事にしました。 青年は一人で暮らしていて、働くようになってからも、 毎日、帰ると人形に話し掛けました。 仕事が辛かった事、仲間と話し合ったこと、月がきれいだったこと、 今日一日、何があったかを、ピアノを弾きながら、丁寧に人形に話して聞かせました。
そのうち、人形は青年のことが好きになりました。 そして、人形は人間になりたいと、人間になって 青年に愛されたいと思うようになりました。
人形は毎日、がんばって体を動かそうと努力しました。 しかし人形なので、もちろん動くことは出来ません。 そんな人形を見て、神様はとても不憫に思いました。
ある日、青年は病気になってしまいました。人形はそれを見て、自分が何も出来ないことを とても悔しく思いました。一晩中苦しんでいる青年を見ていると、なんと目から涙が出てきました。 その瞬間、人形はもはや人形ではなくなりました。 「神様、ありがとうございます!」 しかし、人形は右手だけ人形のままでした。そして、神様は言いました。 「いつか、お前が青年に愛されていたことを証明しなさい。そしたら本当に人間にしてあげよう。」
人形は青年を看病しました。 「君は?」 青年が聞くと、人形だった女の子は、初めて青年に言葉で伝えました。 「あなたが病気だと聞いてやってきました。あなたのお世話がしたいのです。」 青年はとても嬉しく思い、それから青年はすぐに元気になって、その女の子と一緒に暮らしました。
しかし、ピアノの上の人形が無くなっています。 「大変だ。僕の大切な人形が無い。」 女の子は、悟られてはいけないと思い、とっさに言いました。 「人形は嫌いです。どうか人形のことなど忘れてください。」 青年は人形のことを非常に気にしましたが、まさか人形が女の子になるとは想像も出来なかったので、 女の子に気を使って、出来るだけ人形のことは口にしないようにしました。
ある日、青年は、女の子が右手を決して見せないので、見せて欲しいと言いました。 そこで、人形は思い切って聞きました。 「人は人形を愛することが出来ると思いますか?」 青年は、自分が人形のことを気にしているのを悟られていると思いました。 「それは難しいね。君が人形でなくて本当に良かった。」 「あなたが大切にしていた人形を、今でも大切に思いますか?」 「いいや。思わないよ。」 青年は女の子の気持ちを考えてそう言ったのでした。 しかし、人形それを聞いてはっとし、そして、言いました。 「そうですか。」 人形は涙を流して、初めて右手を差し出しました。 「ごめんなさい。ごめんなさい。」 その瞬間、人形だった女の子は、人形に戻っていきます。 青年は人形の右手を握り締めて叫びました。 「ああ!ああ!そうか!そうだったのか!」 青年は涙を流すと、人形を抱きしめ、空に向かって言いました。 「神様、私は大変なことをしてしまいました。どうかこの子を もう一度人間にしてください!!」 しかし、神様は答えませんでした。青年は泣きつづけました。 そして、もう一度空に向かって言いました。 「もしもこの子が再び人間になることが出来ないのならば、 どうか私も人形にしてください!」
青年は人形になりました。そして、永遠の時間を使って、 動くこともなく、言葉も使わずに、 女の子の人形と、ただ寄り添うだけで愛をつくりました。
言葉の無い愛に、誤解はないでしょう。
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結構視覚効果がありがちで、最後空に向かって叫ぶところなんて、 野原の真中で雨が降って雷が鳴ってました。 舞台は1800年位のヨーロッパ風の町並みの中で、 青年の職業はサラリーマンと言う妙な感じでした。 画力があれば絵本や漫画にしたいところだけれど。 |
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