2004/08/23 6怪談


夏の怖い話。



友だちが、1人の同級生についてあれこれどうこう言う。

僕はその友だちに会った事も無く、ふんふん聞く。



中学の頃からいつも仲間の中に居て、

いいやつとは言えない奴なんだけれども、気になる存在だったという。

仲間内でも、あいつのことは何かと話題になりがちだと。

皆、俺はもうあいつに電話してないよとか、あいつは変な奴だといいながら、

次の会合にはその顔があるという。



なんだよくある話じゃないか。なぜ、そんな退屈な話を、

今日ここでする必要があるのか。僕と君のテーブルは、この、ひばり食堂の中で、

どれだけ宇宙の開闢点に近いというのか。



そして、僕はまるで怪談をするように怖い顔をして、少しからかってみた。



殺したいんだよ。つまり。皆、心の中で思っているのだよ。死ねと。

「なんかあいつ変な奴だよね。」と言っている時も、それを聞いている

仲間も、心の中では、死ね。死ね。死ね。と、呪いの言葉を繰り返しているのだよ。

ねえ。思わない?そう。死んで欲しいんでしょ?本当は、彼に、

死んで欲しいんでしょう?邪魔なんでしょう?



なんだか、言っている自分も、目の前の友人も、一瞬魂を失って、そして身震いした。

世界が一瞬暗転したような錯覚に陥った。



ひばりの鳴き声が轟く。



<前へ  次へ>

INDEX

AliceGallery StrataDictionary

(c) 1995 - 2022 AliceGallery