2005/04/16 6新ドラえもん


ドラえもん、新しいのが始まりましたね。オープニングは女子十二楽坊。

かなり頑張っていると思います。声優にはすぐに慣れました。



ポイント:

・1話目から、しずかちゃんのおふろシーン。

・ドラえもんとのび太が同レベル。

・お母さんの声がセーラームーン



「ドラえもんという作品の進化」をもう一度繰り返そうというようなスタンスを感じました。

旧ドラえもんは最後の方は感動を誘うものばかりで、嫌ではなかったのですが、正直見ていて

疲れるというのがありました。もう少しギャグも欲しいと思っていたところです。

実際、新ドラえもんは早速何回か笑いました。



ドラえもんが子守りロボットの本分を忘れているという意見は出ると思われますが、

ここまで慎重にやった総入れ替えです。そんなことを考慮していないわけはありません。

初期のドラえもんには、漫画もアニメも、母性はありませんでした。



しかし、反母性も最初からありませんでした。

つまり、そのキャラクターの背後に「かわいがって」とか「甘えたい」という感情を

含ませないようにしなければならないと思います。新ドラえもんは、ミニドラっぽい

かわいさを含んでいます。ドラえもんには、ドラミちゃんという妹がいるという自覚があるはずです。

旧ドラえもんが母性ゼロからのスタートだったのに対し、新ドラえもんはマイナスからの

スタートであることに興味深さを感じます。



本来のドラえもんの性格は、

のび太のライバルではない > 同い年の友人ではない

アイドルにハマってたりする > 真面目な親の性格でもない

妹がいる兄である > しっかりしている面を見せたい

という前提の上考えると、ちょうど歳の離れた兄弟のような感じです。



そして、弟であるのび太も、兄であるドラえもんも成長します。

万能であり頼れる兄 > 倫理的で厳しい兄 > 歳を取って落ち着き、やさしい兄

という感じに変化していると感じています。



思うに、初期、前期、中期、後期 というように、のび太とドラえもんの成長を計画しているに違いありません。



まず、コミックス2巻を見てください。



「タタミのたんぼ」では、もちの取り分をめぐってのび太とドラえもんが大ゲンカします。



「恐竜ハンター」では、のび太とドラえもんが恐竜に食べられそうになって、どちらを先に食べるか

恐竜が迷っている時、どちらも自分が助かろうとします。(ロボット3原則をいきなり破っている)



しかし「必ず当たる手相セット」では、早くものび太は自立した一面を見せ、

ドラえもんは子守りロボットとしての役割を果たしています。

「一緒に遊んでいるバカ2人」とはちょっと違うわけです。

ここらへんに、「初期」から「前期」への移り変わりが見られると思います。

また、実は「のび太」も「ドラえもん」も、最初からある程度知性的です。ただのバカに見えないように

留意しなければならないと思います。



但しこれは既に考えられていると思います。

いつもいつも真面目腐っていれば、成長したということが強調できないと思われます。



「テストにアンキパン」は、新ドラえもんのキャラで行けそうです。

同じセリフを発しても、全然意味の違う作品になりそうですが、でも啓発的な意味のある

作品ではないし、面白く作れればそれでいいと思います。



コミックス4巻では、「のろいのカメラ」で、スネ夫を「めっためたにしてやる」と、

血相を変えて襲いに行きます。ドタバタの中にも、のび太を思い、そしてのび太よりも

強いということを定義づけています。



次に、コミックス5巻を見てください。まず「ドラえもんだらけ」を読んで笑ってください。

その後、「続きスプレー」を読むと、最初からドラえもんはのび太を叱っています。

(その後すぐに笑っていますが(しかも笑い声が「ガハハ」))



「黒おびのび太」でも、「男なら投げ返せ!」と叱っています。

この頃のドラえもんはちょっと強気な兄貴分です。



「ぞうとおじさん」ではのび太とドラえもんは、共に象を救います。

この話なんて、旧ドラえもんの最後の方より、新ドラえもんの方が上手くやれそうです。



つまり昔の作品をやるためにも、子供であるのび太&ドラえもんから出発する必要がある感じです。

そのため、旧ドラえもんと新ドラえもんのキャラクターを一旦完全に分断する必要があり、

そう考えると、先の「マイナスからの出発」として、キャラが違うということを強調していることも納得できます。



その後、6巻にドラえもん最終回があり、7巻に帰ってきたドラえもんがあるわけです。

帰ってきてからのドラえもんはその後、急速に大人になります。

それまでの、ドラえもんが思い切り厳しく、切れることがある時期を前期とします。

(ネズミ退治のために地球破壊爆弾を出す「ねずみとばくだん」は7巻)

その後、10巻から20巻くらいまでが中期だと思います。

20巻くらいまでは、ドラえもんがのび太と一緒にふざけて遊ぶことが多いような気がします。

20巻以降のドラえもんは、どちらかというと観察・子守りとしての役割にまわることが多くなります。

その後はもうあまり変化はなく、まとめて後期として良いと思います。



新ドラえもんのアニメで、スタッフが気付いていない問題があるとすれば、

色使いはコントラストが低く、声優は今風のアニメチックで、ファンタジックな感じです。

旧ドラえもんはかなりリアルで、日常に中に自然と猫型ロボットが溶け込んでいた、

つまりシュルレアリズム的な雰囲気であったのに対し、「別の世界での出来事」な印象です。

リアルさを失えば、日常を描いたはずの物語は心に響かず、ましてや教育になどなるはずもありません。

もっと「この世」とのつながりを強調すると、影響力の強い作品になると思います。



今後注目しているのは、ドラえもんが、どう怒るか。そしてどう許すかです。



新ドラえもん



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