2005/11/26 | ミスをするサル | |
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| 人間がやるビジネスなんて、サルに毛が生えた程度で、 時々世界びっくり人間ショーに出るような人以外、それには大差が無い。 だから、「できない/ミスをしてしまうなら、やるべきでない」のではなくて、 ミスが起きたときに対応することができる仕組みを作っておくことが大事だ。
また、ビジネスには表出しているお金の流れの裏に、もう一つ保障のお金の流れがある。 普通は、これだけ大きな事業には保険会社を入れる必要がある。 そうすれば、保険会社の第三者的な逆方向(監査的立場)の利害関係の一致により、 保険会社が監査会社(イーホームズの立場)を選定することで、 民間会社のみによるビジネスが成立する。
イーホームズは責任に対してストックするお金が少なすぎる。 本来このポストは保険会社のポストであり、もし検査ミスが起きて変な建造物が 出来てしまった場合、それを壊して作り直すだけのお金のストックが必要である。 つまり、今回、イーホームズに支払われる報酬が明らかに低いのであれば、 「責任を取らなくて良い検査機関」の立場となり、それを指示した機関、 つまりそれを決定した国の機関に責任がある。(上位に責任が継承されている) イーホームズは今回の事件の中で、「できないならやるな」と言われる必要は無い。 出来ることをやり、自分の経済力の範囲内で責任を取れば良い。 国の機関は、出来そうな所に頼むことになる。国は建築会社から税金を取り、 複数の検査機関に頼むことになるだろう。
もちろん、姉歯の立場、 「鉄筋を減らさなければ業者を変えると圧力をかけられた」 これはおかしい。値下げを迫られたら不良品を売っても止むを得ないということになる。 この常識が通ってしまったら、電子レンジ1台買えない世の中になるだろう。
瑕疵担保責任がヒューザーにある現状では、本来、イーホームズの立場はヒューザーが 選べないといけない。自分の健康診断を行う病院は自分で選びたい。 少なくとも、健康診断にミスがあった場合、治療費を保障してくれる病院を選ぶだろう。
しかし、より理想の構造を考えると、イーホームズの立場はヒューザーの立場が選んだり、 それにお金を支払ってはいけない。ヒューザーの立場が、瑕疵担保責任を果たせるかどうかが 不確定だからだ。
「ミスをするサルの構造」的に見ると、ヒューザーは今回それほど悪くない。 逆に、この立場は資本主義的な競争の中では重要な要素となる。 そのコストの圧力と、厳密な品質の監査の圧力の間に、技術の洗練が生まれる。 ヒューザーは、秋葉で値切りまくったら、店員に嫌われて不良品を 掴まされてしまったわけだ。その代償は瑕疵担保責任として降りかかってくる。 だから、ヒューザーは、良品/不良品を判断できる友人と一緒に秋葉原に行く必要がある。 その友人こそは、ミスのチェック(監査)と、その監査ミスの確率管理を行う立場=保険会社なのだろう。
また、最近のマンションは建築開始前に大半の入居者が決定するので、 その人達が早期に集まり、会議の中で第三者的検査機関を選ぶのも良いだろう。 厳密には、建った後の検査の立場は、この入居者達にしか出来ない。
今回、入居者の立場から見ると、ヒューザーしか見えていないわけであるから、 どんな言い訳があっても、ヒューザーが悪いと言うことにして構わないだろう。 しかし実際は、ヒューザーに限らず、建造物の監査はイーホームズのような国の選定機関に委ねられている。 それが機能しないのは政府の責任だ。 今回、政府もちゃんと機能していなかった。政府を選んでいるのは国民だ。 だから僕等の責任だ。え?僕らにはそこまでチェックできるはず無いだろうって? 「できないならやるな。」と言われるかもしれない。
「サルなんかが社会を作るな」と言われるかもしれない。
ミスはミスではない。ミスが起き難い構造を考えることが出来なかったことと、 ミスが起きた時のことを考えていなかったことがミスだ。 いや、厳密に言えば、ミスが起き難い構造を考えることが出来なかったことと、 ミスが起きた時のことを考えていなかったことも、ミスではない。 それを考えることが出来ない者を選んだ者を選んだ者を選んだ者を。。と遡って行った時、 どこにも責任を取れる者がいない構造がミスだ。 100円で洗濯機を売買しようと製造を開始している構造がミスだ。
構造のミスの原因は、僕等人間自体の設計ミスだ。
僕らは全員で、自らの無能を嘆くことになる。
果たして僕らは、今後、責任を取れない構造が分不相応の仕事をしていることを見抜けるだろうか。
どちらにしろ僕らの今日はかわいそうだ。僕らはミスをするサルなのに、それでもビジネスをさせられる。 ミスをするサルは、「ミスをする構造」にはまって、叱られるのを待ってしまうようになる。 |
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