| 老荘思想を元に中島敦氏により執筆され(名人伝)、川本喜八郎氏が手を加えて完成した人形劇。
弓を射るのに弓を用いないこと。
山の上の、足場が悪く転落しそうな、ぐらぐらした岩の上で弓を射ることが出来るか。 自らの死を運命(さだめ)として受け入れるとき、空に飛ぶ鳥と一体化する。
プライドが高く、他者の存在を認めず、他者の幸福を考えず、世界に自分しかいないような主人公(紀昌)は、 不射之射を会得して、もしくは会得しようとして、気がふれたようになる。 利己を残したままで、世界側と一体化しようとすると、意思が逆流し、気がふれるということの教訓の話ではないか。 仙人は自我を保ったままで不射之射を会得している。
劇中、乞食が紀昌にシラミを売る話が語られる。この物語で重要なのはそれだと考えられる。 紀昌は、乞食に不射之射をされている。 この乞食のエピソードは、名人伝には無く、人形劇版で、誰が挿入したのか。 川本喜八郎氏は中国のスタッフと人形劇を共同制作しているということ。 その際に、本来の意味が分かりやすいように再修正したのではないか。
仙人は、自らのプライドで自分自身を傷つける紀昌を見て、気の毒になり、性格を改造したのではないか。
参照:老荘思想 参照:飛んでいる鳥を見なさい 参照:日本的霊性 参照:最も謙虚なる者 参照:粘菌 参照:屋上部
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